全国に大幅に増加している訪問看護ステーションですが、残業時間の増加や労働疲弊による退職者も多く、退職者による影響での事業所閉鎖やサービスの不安定につながっています。ここでは、看護業界での残業時間について少し深堀りしていきます。
訪問看護の月の残業時間の平均
訪問看護師の残業時間は、平均13時間との統計となっています。月に20日間勤務となると、毎日40分程度の残業時間が発生しています。あくまで、統計上での数字ですので、上司が指示した残業と結果的に残ってしまった残業を加味すると毎日1時間前後と予測されます。
ここで、気になるところは医療職が改善されない部分となりますが、利用者都合や調整での確実に正当性がある場合以外は、残業を許可しない医療機関や事業所が現在も多く残っている実情があるところです。
訪問看護師の残業の主な業務内容には、
- 記録・報告書の作成
- 営業活動
- 訪問の遅延
- 移動時間
- 他事業所への電話連絡、報告
上記5項目が考えられます。今回は、それぞれについて詳細と対策について検討していきます。
記録・報告書の作成
訪問看護業務には看護記録が訪問の度に記録作成、提出となります。最近の電子カルテでは記録が実績に直結しているソフトも多く、毎日の記録提出が必要となります。訪問件数が多い分、記録提出件数も増えますので、必然的に時間内に記録提出できずに残業になるケースが見受けられます。事業所により提出期限のルールがありますが、月に1回、関連事業所に向けた報告書の作成もあり、月末にそれらの業務も重なり、多忙時期が発生します。
件数での業務多忙を評価するのではなく、一般的には労働時間の半分時間が訪問で、残りの半分の時間は移動時間や記録を行う時間にするのが理想的です。報告書作成に関しては、必然的に業務過多の時期が毎月発生してしまうため、事業所で月間予定をルール化して業務量を一定化する取り組みも必要となります。
営業活動
近年は多くの事業所が新設されており、利用者の新規契約の依頼を獲得する方が大変になりつつあります。そのため挨拶の方法や話し方など、多くの営業方法の指導がはじまりました。現在では、営業成績表があったり営業記録を記載している事業所も多いと伺っています。また訪問時間以外は営業に回るルールの仕組みなどもつくられ、いつしか「営業に回らなければ依頼が来ない。」という時代になりつつあります。事業所によってですが、勤務時間内には営業の指示があり、記録は退社時間を過ぎてからという事業所も中には存在します。
営業に周るだけでは新規の依頼獲得は難しい時代になっています。自社の特徴や長所を見直し外部発信していく事が必要となります。また日々のケアの提供の丁寧さや仕事の誠実さが次の依頼に一番に繋がります。営業はその延長線である事を念頭にし無理のない範囲で行う事が大切です。
訪問の遅延
予定時間内でのケアを終了する事が難しい内容であったり、利用者の傾聴時間で訪問を終了できない事があります。また利用者の当日の自己都合での時間変更で、終業時間近くでの訪問時間変更もあります。体調変化での急な点滴開始等で夕方に点滴が始まる事などで、勤務時間内に勤務を終了できない事があります。また、開設当初は依頼数確保のために夜間から深夜の定期的な訪問依頼を引き受けたり、土日の休みに定期訪問を受けざるをえない状況の事業所も存在します。
ケアの内容の再構築し現実可能な訪問を行う事が理想的です。訪問できるスタッフが限定的にならないようなケアの見える化を行い、その日の状況で訪問対応できるチームの総合力が必要となります。そのためには適切な利用者数や件数に伴い、従業員を増やせるような自社の魅力や内部での仕組みや報酬体系を築いていく事も必要になります。
移動時間
新規依頼の獲得が難しくなってきている事で、訪問エリアが拡大している傾向にあります。都内では自転車30分距離の依頼や、地方では車で1時間先まで訪問しているケースもあります。ここで難しいのは訪問業界では一度依頼のお断りをすると、その依頼先から依頼がストップしてしまう現象があります。そのため遠いがやむを得ず依頼を受けるケースも多々あります。また地域によりますが、他の事業所が訪問できないエリアもあり、そこは使命として引き受けている現状もあります。
冒頭でもお伝えしたように、勤務時間の半分が訪問時間、残りの半分が移動や記録時間が理想的です。時間は財産ですので移動時間が短縮できるようなルート確保のために、ある程度の規模感と従業員数を充足させる必要があります。
他事業所への電話連絡、報告
在宅業界での報告・連絡・相談は地域連携を保つために必要な業務となります。1回の電話が5分、医療機関やケアマネージャー、家族に電話となると、一回の電話内容でも合計15分から20分の計算となります。また連絡相手が電話がつながらない場合、昼休みや訪問の合間での再連絡となり大きなタイムロスとなってしまいます。多くの事業所が電話対応可能な時間は終業間近の時間となり、記録類や事業所内の伝達が更に遅延し、結果として残業となるケースが多いです。
今まではFAX伝達がメインでしたが、現在は情報伝達ルールも多く普及し同時に複数事業所が共有できるようになりました。早急に必要な事は電話で緊急性の少ない共有事項は伝達ツールを上手に活用して、共有と時間短縮を行う事が必要です。
まとめ
訪問看護の慢性的な残業要因を紹介しました。医療職・介護職者では、業務過多や利用者都合により慢性的に残業発生する要因が多くあります。また利益重視で業務バランスが崩してしまうと、それらが慢性的に残業要因となってしまう事も珍しくありません。中には給与内訳に固定残業代があるため残業が常態化している事業所もありますので、入職時には確認が必要です。
円滑かつ有効に時間コントロールするには業務調整やスケジュール調整も大切ですが、一定数以上の規模感が必要になってきます。従業員の過度な苦労や犠牲で成り立つような事業形態では本末転倒となります。従業員が長期的に就労できるような可能な限り安定した業務内容やルール作りが必要となります。
デイズ訪問看護リハビリステーションでは、残業0を目標に日々取り組んでおります。昨年度も月の平均残業時間は20分以内を維持しています。しっかり仕事はしたい、でもワークライフバランスも大切。という方に是非就労していただきたい職場です。

Days right care株式会社 代表取締役(正看護師)
病院勤務時代は、ICU・HCU・循環器病棟・外科病棟・救急外来・手術室・透析センターで勤務し、計15科を経験し、コロナ重症患者(ECMO含む)に対応。路上で事故現場に遭遇し人命救助を行い、警察署長より感謝状、松戸市長より表彰を授与する。国内初、訪問看護師としてファブリー病患者に酵素補充療法(ERT)を実施。

